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    「はゝあ」

    小谷は房一に話しかけた。

    房一が云ふと、喜作は突然びつくりするほど大きな口を開けて笑つた。

    房一は近い往診の帰りに河の石畳みの土手をつたつて歩いていると、広い河原を前にし土手沿ひの小高い畑地の端に立つて、特長のあるごつごつした頭骨を露あらはにし、両手を帯の前にはさんだまゝ、殆ど反そり身に立つたまゝあたりを眺めている男を見た。

    「あれですよ。半之丞の子と言うのは。」

    練吉はさつきから一人で喋つていた。

    「本日は、私ごとき者までお招きに預りまして」

    ところが驚いたことにはこの男は、房一があらゆる初対面でやる鹿爪らしい挨拶の文句を今やはじめようとしたときに、いきなり前に立ちはだかるやうに、と云ふより、殆ど気づまりのするほど真正面に近々と顔をよせて、おまけに露骨に房一の顔を見入りながら、

    次に記すのは、ほんとうの怪談らしい話である。

    入るなり、

    「ほう。元気だね。ハッパでやられたかね」

    「いや、そのうち又ゆつくり話さう」

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